「グラフをつくる前に読む本 一瞬で伝わる表現はどのように生まれたのか」(松本健太郎 著)を読んだ。

ご厚意で「グラフをつくる前に読む本」を頂きました。ありがとうございます。

グラフをつくる前に読む本 一瞬で伝わる表現はどのように生まれたのか

グラフをつくる前に読む本 一瞬で伝わる表現はどのように生まれたのか

感想は先につぶやいてしまいましたが、

いやはや、恐れ入った、という感じです。

グラフの本というと、

  • 「Y軸はゼロからはじめないとダメだ!」(Y軸警察)
  • 「Y軸はゼロからはじめないとダメだというのは嘘だ!」(Y軸警察警察)
  • 「3D円グラフ殺すべし慈悲はない!」(3D円グラフ警察)

みたいな警察が大量に現れる殺伐としたものを想像してしまいがちですが(毒されすぎ)、この本は、そういう書き方はせず、徹頭徹尾「このグラフの心はこうだ」という概念について書こうと努めていて、好感が持てます。

ただし、概念というのは伝えづらいものです。ハウツー本は「グラフを描くにはこうだ」あるいは「こうじゃない」という具体的なポイントを押さえていけばいいわけですが、概念について書く本というのはそういうわけにはいきません。そこで、この本は、副題にあるように「一瞬で伝わる表現はどのように生まれたのか」という歴史を積極的に取り上げるという戦略をとっています。歴史を、いわば補助線として用いることで、時代を超えたグラフの概念の本質を炙り出そうと試みています。

そんなわけで、「グラフをつくる前に読む本」というタイトルだけを見てこの本を買おうと思った人にひとつだけ忠告しておくと、歴史についての記述がめっちゃ多いです。実際、よく見ると表紙にも、

主要なグラフの見せ方を歴史から学び直す

とばっちり書かれています。グラフのハウツーがサクッと知りたいのであれば読むべき本は別にあるかも知れません。自分が求めているものとあっていそうか、本屋が近くにあるなら現物をチラ見してから買うことをオススメします(個人的には歴史の話は嫌いじゃないのでよかったです)