著者の方のご厚意でこの話題の本を頂きました。 今知るべき再現可能性についての知識がコンパクトにまとめられている良書です。
「R Markdownの本」ではない
個人的に目からうろこだったのは、中盤(4章)までR Markdownの話が出てこない、ということです。 たしかに初心者向けとはつぶやいておられましたが、
「再現可能性のすゝめ」ですが、データ解析とレポート作成を始めましたっ!という人たちには是非とも読んで手を動かして身につけてほしい一方で、身近のRおじさんたちからは「内容薄っ」って言われそうで怖いです。前のドキュメント本よりも相当初心者向けなので、そういうことでお願いします。
— kohske (@kohske) 2018年4月27日
そうは言ってもkohske先生のことだからきっと魔術的なR Markdownの使い方が所狭しと並んでいる本なんだろう(失礼)、と思っていたんですが、 もっとスッと読める本でした。何の本かといえば、そうです、再現可能性についての本です。タイトルにあるとおり。
再現可能性ってなに?、R Markdownとか触ったことない!という人に読んでみてほしい
1章は、「再現可能性って、そんな深く考えなくても日常けっこう困ってますよね?」というデータ解析あるある話から始まり、 さらっと読めるソフトさでありながら、わりと本質的なことを言っています。私は、
データ解析の最大の目的は、データを解析して結果を得ることではなく、データ解析のレシピを完成させることである
という一文にしびれました。他にも至言*1が散りばめられているのでぜひ読んでみてください。
次に、2章はRStudio、3章はRスクリプトと続きます。 この2つは、今やRを使う人なら誰もが使うものでしょう。 そのありふれた道具に、徐々に再現可能性を高めるテクニックが注入されていき、4章で満を持してR Markdownが導入されるのです。
ここまでの流れが鮮やかでもう。 再現可能性とは、突然天から降ってくる概念ではなくて、日常の課題とか日常使いの道具のすぐ向こうに地続きになっているものなんだなあ、みたいな気付きが個人的にはありました。
なので、Rは多少使ってるけどR Markdownとか触ったことない、みたいな人にこそ読んでみてほしいです。
最新のトピックも網羅
もちろん、「俺はknitrのchunkオプションはすべて暗記しているぜ、ぐへへへ」みたいなR Markdown超人の方にもおすすめです。
bookdownやflexdashboardといった最新のトピックや、DiagrammeRの作者がイケメンといった細やかな情報まで網羅されていますよ。
あと、
ホントこれ
ホントこれ。 https://t.co/Ja2oNNZc4C
— kohske (@kohske) 2018年5月5日
らしいので、真相を確かめるべくぜひ読んでみてください!
*1:たこ焼きに関する哲学とか。