電子工作初心者でもわかるVCFの回路どっかに転がってないかな...、そうだ、Mutable Instruments!
ということで、アナログVCFであるRipplesという回路図を見ると、こんな感じの回路があって、調べた時のメモ。
(Émilie Gillet 2020, CC-BY-SAライセンスで公開されている回路図: https://mutable-instruments.net/modules/ripples/open_source/*1)
参考リンク
まず、「Mutable Instruments Ripples 回路」で調べるとこのページが出てきました。
自慢になりますが、信号経路は私が考えた回路です。誰でも考える回路ではありますが。たぶん私が最初です。
と書かれていてすごい...
↑の記事からリンクを張られている2006年の記事に、この回路のコアの部分の回路図がありました。
細かい説明は、これも↑のブログで言及されていて知ったんですが、Sound semiconductorの資料にかなり詳しく書かれていました。
- Designing voltage controlled filters for synthesizers: http://www.soundsemiconductor.com/downloads/AN701.pdf
- SSI2164のデータシート: http://www.soundsemiconductor.com/downloads/ssi2164datasheet.pdf
V2164とは?
RipplesではV2164というICが使われています。これは、4回路のVCAが入っているチップで、Analog Devices社が出していたSSM2164の、Coolaudio社によるセカンドソース品です。 V2164は秋月とかでも買えます。
あとはALFA社製のAS2164、Sound semiconductor社製のSSI2164があります。 機能的には、SSI2164がいろいろ改良されていてよさげな雰囲気です(逆流防止回路とか入ってるので電源の向きを間違えても安心、とか)。DIPはないけど。 抵抗とかコンデンサも許容範囲が他社のICより広そうな感じがします(逆に言うと、SSI2164のデータシートに載ってる回路をV2164で使っていいのかとかはよくわからない)。
ピン配置
- に入った信号が のゲインで増減されて から出ていく
- 記号がになってることからもわかるように電流に対する操作なので、元の電圧と同じスケールに戻すために入出力の前後に同じ値の抵抗(Ripplesの回路だと、V2164のデータシートだととなってる)を置く必要がある。
- 入力を安定させるために、の抵抗とのコンデンサを直列につないでGNDに接続する
- ゲインは、がGNDのときにユニティゲイン、そこから電圧が上がるとのペースで減衰していく。逆に負の電圧を入れるとゲインが上がる。ゲインの幅は〜とのことなので、これを-0.033で割って、だいたい〜以内におさめる必要があるらしい。
- つまり、±12Vの電圧をそのまま突っ込むとたぶん死ぬ。負電圧をかけないようにするためにダイオードをかますCV用回路がSSI2164のデータシートに紹介されていた(Figure 16)のでそれを使うとよさそう。
- modeはほとんどの場合はオープンで大丈夫。ディストーションが起こるのを絶対に避けたい場合などはここも使う必要がある、らしい。
OPA1679とは?
OPA1679(あるいはOPA1678)はこういうフィルターとかオーディオ用途のオペアンプで定番のやつらしいです。
昔は秋月でも売ってたけど、TIのやつなので、もうmouserとかdigikeyじゃないと買えません。 TL072、TL074あたりでもよさそうだったので(houshuさんがブログで紹介されていた回路もこっちでした)、とりあえず手元にあったそっちを使いました。
single pole low pass filter
Ripplesの回路は、
を4つつなげたものなので、まずはこの1つ分を考えます。 これはsingle pole low pass filterで、SSI2164のデータシートに解説が書かれています。曰く(記号はデータシート中のもの)、
In this circuit, the SSI2164 is analogous to a voltage controlled resistor. Capacitor forms the core of an inverting integrator, and is being charged or discharged by the input (left-most ) and feedback path (right-most ) currents at a rate determined by the SSI2164 ’resistive’ element.
ということで、あんまり理解できてないのですが、ここでV2164は可変抵抗みたいなものとして考えればいいということで、
VCAが全開のときは、電流は抵抗がないそっちにいくのでは無視して、単純にボルテージフォロワに突っ込んでる感じ?で、
逆に、絞りきってるときは、ほとんどの方に流れていくので、CRローパスフィルタを通っていく感じ?、
みたいなイメージであってるんでしょうか...。詳しい人教えてください。
high pass, band pass
SSI2164のデータシートにはハイパスフィルタの回路も載っていましたが、 Ripplesはそうではなくて、元の信号からローパスの各段の信号を引き算したものをハイパスとして出力していました。 バンドパスもそんな感じです。
この部分の回路も理解できてないので出直します...
レゾナンス
ここは、https://houshu.at.webry.info/202006/article_2.htmlのこのコメントがまだちょっと理解できていません。 レゾナンス部分そもそもあまりよく理解できていないので出直します...
レゾナンスのフィードバックを制御する13700に、入力信号を入れて、レゾナンスを変えた時の利得の変化を小さくしている
結果
ということで回路自体はぜんぜんよくわからないままなんですが、とりあえずブレッドボードで組んでみたら動きました。 9V電池で適当にやっただけですが、そこそこちゃんとフィルタになってる気がします。
ガスコンロフィルターピンギング pic.twitter.com/uqxLZBa8IK
— Hiroaki Yutani (@yutannihilation) 2021年5月8日
*1:CC-BY-SAなのでこのブログに載せたトリミング画像もCC-BY-SAになります